ondonpiのブログ

山と川の間に迷い込み、掘立小屋で自炊し、猫の額ほどの畑で自給し、大脳と小脳の世界に遊びます・・・

なぜ安い!、私の野菜、経済って何?

[きっかけ]
自然農法にあこがれ、田舎へ行きました
二股の大根、背割れした人参、あばたづらのじゃが芋・・・
皆々、幸せでした
毎日が嬉しくて、たまりませんでした
このお陰で、しつこいアトピーも治りました
また収穫が集中する野菜を小笊に並べ、100円ショップを開きました、庭先にビーチパラソルをさして
お客さんと楽しくもあり、嬉しくもありました
ただ笊に入った100円硬貨十枚余り、これで子育てと家ローンは、完全無欠に不可能と知りました、知ってはいましたが・・・
ネットには、自然野菜の宅配で成功している若者たち、彼らが神様、スーパーマンに見えます
 
真夏の炎天下、汗と泥の草むしり
熱波のゆらめき、かげろうか蜃気楼か、この世かあの世か・・・
私は、経済って何だろう、と思い始めました
 
[高度経済成長]
戦後の高度経済成長、物心が付いたときは既にその真っ只中だったので、これを当然と思い疑問を持ちませんでした
当時の為替は、終戦後のブレトン・ウッズ体制と言われる固定相場360円でした

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この高度経済成長、誠に不思議な現象だった事は、つい最近まで考えた事もありませんでした
後半で詳しく深堀りしたいと思います

 

[変動相場制]

その後この高度経済成長が、1971年ニクソンショックの変動相場制移行と1973年オイルショックの狂乱物価で崩壊しました
ちなみにこれは、ベトナム戦争でドルを大量印刷し垂れ流したアメリカが、そのドル兌換不能に陥った事と、第四次中東戦争でボロ負けしたアラブが、OPECカルテルを作り石油価格を暴騰させ、イスラエルアメリカと世界に復讐した事、これが原因でした
ファイサル国王は一人で、世界に勝ったのです
ちなみに異なる二つの現象がたまたま重なった、と思うかもしれませんが、重大な共通点が見る人には見えます
つまり、経済が戦争に勝った、経済が戦争をねじ伏せた、と言う事です
その後ソ連が崩壊しましたが、これも戦争では無く経済に破れたのです、共産主義
私はこの戦争、いい事だと思います
残酷地獄も死人も悲劇も、無いからです
さて為替は乱高下の末、240円程になりました
購買力を強めた筈の円高ですが、石油を始め原材料の狂乱高騰は覆えず、他方の輸出品は倍以上に値上がりし競争力を失います
加工貿易の日本が、成り立たなくなったのです
当時の産業、繊維工業などの軽工業は勿論、製鉄、造船、重化学工業などの重厚長大産業は、石油をがぶ飲みして成り立っていたので、一瞬に消えました
既に賃金が向上して、弾力性を失っていた事もあるのでしょう
現にこれらの産業は、低賃金の後進国に移りました、煤煙と環境破壊を引き連れて
 
ところが日本は、偉かったですね
血を吐く努力を重ね、自身を改造しました
精密工業や自動車産業にシフトし、これまた隆盛を極め、アメリカをも凌駕しました
アメリカから、日本車やトランジスタラジオをハンマーで壊す映像が、毎日テレビに映されました
 
怒ったアメリカは1985年プラザホテルに主要五ヵ国を集め、日本に為替の円高を強要します
日本が隠れて行っていた円安誘導がばれた、と言う側面もありました
これで為替は120円程になったと記憶します
いきなり為替が倍に高騰して、やっていける会社は有りません
倒産の嵐、社長の自殺、会社の国外移転、国内産業の空洞化、就職氷河期、ロスジェネと引きこもり、長い長いデフレに突入したのです
 
ただその後起きたバブル、これは大々、大不況対策に、良かれと発動した日銀の、大幅金融緩和(1987年)が発端でした
これで経済の大暴走、自暴自棄が始まりました
驚いた日銀が総量規制(1990年)を発動した翌年、バブルははじけ、大不況、大デフレに戻りました
 
[なぜ安い!、私の野菜]
冒頭の疑問は、途中段階の今、計らずもその答えが出てしまいます
ハイ、会社は国外に逃げられるから、まだいいのです
農業は逃げられません、どうなるでしょうか?
例えば、昔1ドルだったアメリカの肉は、輸入すれば360円でした
その同じ肉が、今度は120円で輸入できます
外国の農産物は一挙に、3分の1に安くなり、日本の農産物はこれと競争させられたのです
当然、安売りしなければ売れません
冒頭の私、畑の熱波と低価格で気を失いそうになった正体は、ここに答えがあったのです
為替は、工業製品が勝手に(?)稼いだ数字です
農業は昔も今も、何も悪い事はしてません
農業は昔も今も、同じ事をしているのです
逆に輸出品農産物は、3倍に跳ねます
日本産が、売れる筈が有りません!
これが、農業と畜産、林業と漁業で起きている事です
 
農業改革をつぶやく大臣、農協を槍玉に上げる政治家、どこ迄分かっているのでしょう
フランスワインを挙げるまでも無く、ヨーロッパとアメリカの農業は、補助金と各種法律でガードされています
農業は資本主義にそぐわないと、知っているのです
日本農業は、丸裸で禿げ鷹資本主義に放り出されました
減反補助金があったと言うでしょうが、あれは仕事をしない人に金を渡す仕組みでした
欧米では、頑張る人にお金が行くのです
 
[グローバル化と金融立国]
私の観察ですが、この大デフレの足元で変化の兆しが見えます
企業は高度精密化とAI化を経て、高値でも競争できる超ハイレベルの分野にシフトし、且つグローバルとローカルに分離したと思います
先端精密企業はニッチと高度化を極め、世界シェアのオリンピックをやっています
世界の表彰台の一、ニ、三位は生き残り、四位以下は死ぬ世界です
これらの会社はグローバル経済に生き、日本のローカル経済に接地面を持たず、恩恵も寄与も有りません
もう昔の、松下電器産業ではないのです
下請け孫請け関連会社、全国津々浦々の町内に一つはある無数のパナソニックの店舗
上が動けば末端細胞皆動き、町と国が根こそぎ傾斜する、そんな日本ではなくなっています
 
もう一つ日本の経常収支に、顕著な変化が起きています
貿易収支の黒字は減り続け、他方資本収支の黒字が上回るようになっています
つまり、産業革命のイギリス、第二次大戦のアメリカに続き、日本は工業立国ではなく、金融立国に変身しだしているのです
イギリスがくたばる様に見えて、くたばらないのを不思議に思いませんか、実はこのせい、資本収支のせいなのです
その意味で思うのは、かつてのアメリカの双子の赤字、あれは心配する赤字では無かったのでは、と
 
[経済のそもそも]
そこまで分かりました、そこまで勉強しました
そこでハッと我に返ります、当然だと思っていた戦後高度経済成長の理由、そもそもの発端、これが分かっていない事を
勿論知っています、色んな説の有る事を
朝鮮戦争特需が、一つ
また世界大戦後の共産勢力の防波堤で、敵国にしておくつもりだった日本を味方にしなければならなくなったアメリカの事情、これが二つ
日本は明治以降、元々力のある国なのだ「論」、これが三つ
共に負けて発展が起きた日独の共通点、勤勉な国民性「論」、これが四つ
他にもあるでしょうが、これって腑に落ちますか?
 
[交換のそもそも]
もっと大事な物があったのだよ、と私は言いたいのです
話は遠回りで始めます、それが根本に迫り、理解が早いから
先ず私は、経済とは、豊かに便利に楽になりたいと願う、欲得と工夫と好奇心だと思います
その一歩が、交換です
最初は家族、次は身内、近所、村の中、隣の町と広がります
これは人類誕生、石器時代から始まりますが、前提の信頼関係には距離の限界があります
またその交易も利益も少ないです
なぜなら自分と他人、その持物は同じだからです
 
[交易のそもそも]
豊かさ珍らしさは、遠くの物産が交易されて初めて得られます
これが現実の物となるのは、日本では縄文時代です
加羅伽耶が鉄を産し、出雲国や丹後王国が日本海を遊弋し、出羽陸奥の昆布など各地の物産を広く広く交易しました
鉄の農具と工具は、第0次(?)産業革命起爆剤となり、日本各地で渇望されました
生産が楽になり飛躍的に増え、豊かになりました
北の海岸に打ち上がる昆布も、捨てるしか無かったものが、交換商品に化けたのです
丹後の大宮女神社は、日本では珍しく女神ですが、ここは丹後王国の倉庫だったのです
各地の産物が積み上がり、これが豊穣と女体に繋がり、女神の元祖となったのです
各地が豊かになっていく様子が、目に浮かびます
ただ、これが可能になる為には、近隣を超える信頼関係の広域化が必要です
大国主命が、因幡の八神姫、越の奴奈川姫と結婚しているのは正にこれです
倭の五王の武は、我が祖先は、東は毛人五十五カ国、西は衆夷の六十六カ国、北は九十五カ国を平定、と言うのは正にこれなのです
出雲や丹後王国は、ゆるい連合構築に成功したのです
同時に制海権をも構築し、交易を可能にしたのです
アダムスミスの継承者リカードは、「比較優位」の分業と交易により豊かになるとしていますが、これが日本海を跨いで起きたのです
但しこれは各地方の「物産」の交換であり、その行為は「商業」であり、産業ではありませんでした
 
[鎖国のそもそも]
その後日本は、平安時代と言え武家時代と言え、基本的には長い長い鎖国に閉じ籠り、停滞が蔓延します
この鎖国北朝鮮はいまだに、中国はつい最近まで行っていました
経済を求めるならば鎖国はいかに愚かな事か、その実証実験と言えます
さて日本は明治で初めて、縄文以来の開国を果たしました
しかしその時、欧米が欲しがる「比較優位」の産物は一つでも有ったでしょうか?
加羅伽耶の鉄に対する、昆布は有ったでしょうか?
それが無かったから焦り、空回りしたのが、朝鮮満州進出、明治大正昭和だったのでは、と思う程です
 
 [労働のそもそも]
それでは「比較優位」の産物が無ければ、経済に加われないのでしょうか
現実世界の国は、横一列ではありません
現在では先進国で既に売れている物を、後進国が労働して作って売り込む、という方法に推移しています
現今の「比較優位」は、物産では無く「労働優位」「労賃優位」になっているのです
豊かさへの向上は労働と言う、ある意味原点回帰、デジャブ感を髣髴します
と言うか、お金が形を変えるのと同じように、労働も形を変えるのだ、と分かります
開発費や研究も不要です、真似をすれば良いからです
これが戦後起きた事です
つい最近、韓国や中国やベトナムでも起きました
これら日本製品を、アメリカは買ってくれたのです、共産化防衛の為に
これが高度経済成長です
勿論アメリカより安価で、アメリカより低賃金で、アメリカより安い平価で、が条件です
ご存知ですか、明治に両から円に変わり、1ドル1円でスタートした事を
それが敗戦で、360円まで落ちぶれたのです
日本はゴミ、シラミから立ち上がりました
 
[会社のそもそも]
「労働」して「工業製品」を作るには「会社」が必要です
戦後、会社が群がり起こったのをご存知でしょうか
その会社に行って現金収入を得る、と言う事が日本各所の町々で始まりました
これで人は現金収入を得、豊かになったのです
 
今の人にはおさらいが必要ですね、ちょっと寄り道します
私の子供の頃、家に囲炉裏がありました
料理をし、暖をとりました
懐かしく楽しく、ぬくもりがいっぱいでした
ただこれは何を意味するか分かりますか?
家の中で火を焚けば、もうもうと煙が立ち、部屋は煤と灰だらけになります
ハイ、戦後日本の田舎は縄文時代を生きていたのです
それが私の小学校頃、竈になりました
灰はまだ家の中でしたが、煙と煤は外になりました
ようやく弥生時代に進化したのです
そして中学、ガスになり、現代に到達しました
同時にこの頃、以前は百姓仕事しかなかった大人たちが、会社勤めを始めている事に気が付きました
村に、スーパーカブや中古車が現れました
急激に豊かになったのです
その原因は会社と、その現金収入だったのです
言うまでもありませんが、年に一度の米代金の農業収入は、地を這う金にしかなりません
 
問題はその会社が、何故戦前に生まれず、戦後に雨後の筍のように群がり生まれたのか、と言う事です
ご存知ですか?、戦前の会社を
官営工場はありました、払い下げ工場も、財閥の工場も、また日本には江戸時代からの商業資本もありましたからその会社もありました
ただそれらはえら〜い会社であり、庶民が近づける所ではなかったのです
庶民は生涯、大地主の下の小作人でした
これが戦後、無数の身の丈サイズの会社が湧き上がったのは何故でしょう?
財閥解体と農地改革、これしか思い浮かばないのです
財閥解体で会社が一般開放され、農地改革で自由人が生まれ、無数の会社が生まれた、と
高度経済成長の、大きな原因です
 
[金融のそもそも]
その会社よりもっと、分からないことがあります
会社を興す「金」です、勿論銀行から借ります
銀行は戦後の困窮時、何故金を持っていたのか、それが分からないのです
つまり奇跡の戦後復興と続く高度経済成長の最終的原因は、ここに行き着くのです
 
国は戦争遂行の為、借金に借金を重ね、国債国債を乱発し、敗戦時点での負債総額はGDP比の8倍だったと言われます
国の予算で言えば、その70倍の借金でした
昨今の国の借金1200兆円など、屁みたいなものです
驚くのはその借金、国は返そうとしたのです
全部チャラにしそうなものですが、本気で返そうとしたのです、信じられない事ですが
ちなみに第一次大戦後のドイツは、事実上チャラを決め込みました
調べると先ず300倍のハイパーインフレが起きて、借金は一気に300分の1に減ります
ちなみに為替が360円に決められたのは、これが根拠で、プラスアルファを加味したものです
 
次にピンと来るのは、未だに悪夢の預金封鎖、これに思い至ります
これで全国民の金のあらかたを、巻き上げたのです
さあこの金を、主な借り方である、銀行や協力を強いられた会社や債権を買った個人に返したのでしょうか?
驚いた事に会社はナンボも貰っていないのです
一方銀行は、不良債権を皆抜かれ、あまつさえ潤沢な資金を注ぎ込まれている事実が浮かび上がります
バブル崩壊の時と同じです
膨大な借金を抱えた企業と銀行、会社は潰れるに任せ、銀行は不良債権を抜かれ、加えて資本注入を受けています
同じ手法です
 
善か悪かを問えば、悪に決まっています
ただもしこの悪が行われなかったら、会社は興きず、奇跡の戦後復興も、奇跡の高度経済成長も起きず、我々は縄文時代を生きていたでしょう
 
(余談ですが)、鄧小平が企てた中国の興隆です
既に述べましたがその一因は、低賃金と模倣でした
それより重要な要因、金はどうしたのでしょう?
あの共産党が金など、持っている筈がありません
外資です
外国から、企業と資本を見境なく招き入れたのです
見境なくのココロは、高金利です
これを返すのは容易ならざる事の筈です
彼の国は、薄氷を歩いています