ondonpiのブログ

山と川の間に迷い込み、掘立小屋で自炊し、猫の額ほどの畑で自給し、大脳と小脳の世界に遊びます・・・

営農体験ルポ2、田植えと生産性

前回は確定申告のショック、営農誕生で農家が不動産屋になった事を知った
今回はその営農で田植迄だが体験して、生産性の不思議を知りたいと思った
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早春、微温電熱の、目測2メートル四方の、巨大水槽数基に、種籾を浸し、数週間に亘り、人工的な春を教える


次いで、およそ30×50cm程のトレ一、数千個が登場する
ベルトコンベアを流れ、最初に土が、次いで種籾が、最後にまた土が、降ってきてかぶさる


これが25枚程密着して積み上がると、背丈程の柱が立つ
この柱6本が台車に積まれ、電気温室に格納される
その台車が16だから、トレー数は2400位になるだろう


根が出るのを見計らい、初めて外の巨大広大なビニールハウスに移される
広い床一面に並べられ、芽が伸びる様は美しい


ちなみにこの、種籾浸し、根出し温室、芽出しビニールハウスの三態が、早生、中手、おく手と三回、踵を接して進行し、三つの場所を動く
人海戦術用に雇われた私の様な素人集団は、3×3でたちまち頭が混乱する
(昔音楽の時間に、カエルの歌の輪唱をやらされた時みたいだった)
勿論天候を見据え、育苗進行を測り、指図を下す、数名の中枢頭脳が存在する


昔は種籾浸しは、家の親父が風呂でやっていた
各家庭ばらばらの判断、各農家ばらばらの結果、且つ少量多種だった
その種籾を、田圃の一角に苗代を作って蒔き、苗を育てた
まばら、むら、天候任せ、運任せ、上手下手がまとわりついた
たったここ迄の過程でも、震える程の大量生産がひしと伝わる


次の一手だが、生産性のもう一つの鍵は、頭脳と手足の分離ではないだろうか?
ひるがえって見れば、会社はすべて、この形になっている
みんなが社長や金持ちになりたい、と思っている訳ではない
言われるままの責任無しが気楽でいい、と思うのも事実
その手足は時給で補充でき、不思議な事か、機械のお陰か、昔の零細農家より高給だ


さて苗の次は、田植だ
言う迄もないが、このトレー育苗は田植機に適合させる為の工夫だ
育って根張りして、コンニャクのような形状になった苗をトレーから外し、田植機の8条の溝に滑り込ませる
後は、広い田圃を田植機が走れば、自動的に苗が植わって行く


昔々のあの田植え、あの農村、あの日本の原風景、それと合わせた弥生文明が、田植の早乙女娘と共に去って、ビジネスになり、資本主義になり、感情が消えた
(心配してない、感傷も無い、私には縄文がある、通商の民の、縄文に戻るのだ)


さてここで登場した、奇妙精密感動的な田植機だが、日本人だけだろうか、こんな発想の、迷路に迷い込んだような機械を考えるのは?
私など、田植が手でなく機械で出来るなんて、目の前で見せつけられても、不思議でならない
アメリカ人なら種蒔きは、あっさりと飛行機散布だろうか?
生産性は、前者が劣り、後者が優る


ただこの時点ですぐ浮かぶのは、草だ
日本式育苗方法だと、草の種が無い
アメリカ方式だと苗と草がヨ~イドンになり、強烈な草枯らし農薬が要る
遺伝子操作の誘惑と動機はここに、潜んでいる
化学肥料で育つ野菜は弱く、病気や虫や菌を呼び、腐敗しやすい
農薬はこれらを殺す為に不可欠となるが、衰えた野菜の元気は戻らない
収穫後の野菜、果実、穀物も腐りやすく、ポストハーベストなる農薬に浸す
欧米からの輸入麦は、既にこうなっている
だから食パンは一週間経っても、十日経っても腐らない
二日で匂い、三日でかびるパンは、贅沢品になった


アメリカほどではないが日本の田植機も、田植をしているように見せて実は、農薬と除草剤と化学肥料を撒ける構造になっている
それも芸が込み入り、知能犯的に進化していてびっくりした
それぞれの肥料や農薬は、水に溶ける速度が異なるカプセル(コーティング?)に包まれ、即効、中効、遅効と、秋まで持続する


米作りは、ガラリと変わった、恐ろしいまでに変わった・・・
食品添加物残留農薬と化学肥料のアトピーの私、生息範囲がどんどん狭まっていく・・・